昨年のハロウィンの朝方だった。おばあちゃんが息を引き取ったのは。
いつも、まわりに感謝の心を忘れない、常に気遣いをしている素敵なひとだった。
訃報を聞いて親戚が集まり、うちは賑やかになった。
湿っぽくならないようにするためか、みんな涙は見せず普段通り振る舞っている様子だった。
おばあちゃんは、旅支度を整えられていた。
「今日はハロウィンだから、おばあちゃん仮装しているだけなんじゃない」
いとこに言ったあと、泣きそうになった。
いや、本当に仮装だったらいいのに、とこの時は思った。
外の風に当たろうかと抜け出したら、ワタルもついてきてくれていた。
「楽しいイベントなのに、こんな話してごめんね」
「かまわないよ」
彼はそれだけ言って、ただ一緒に少し肌寒くなるような風に当たっていた。
しばらくして、酒の席に戻ると、私はオレンジ色のとんがり帽子を被った。
記憶力の乏しい私が忘れないように、おばあちゃんはこの日を選んだのかもしれない。
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